有給休暇とは|付与日数の計算方法・取得条件・期限について解説

正社員の有給休暇はどれくらい取れるもの?

実際にどれくらいの有給が取れるのか、その間にきちんと給与が受け取れるのかを雇用前に確認している人は少ないかもしれません。

有給休暇を取ることは法律で義務付けられていますので、ご自身でどれくらいの日数になるのかを計算してみると良いでしょう。

今回は、正社員の有給休暇の計算方法・基本的な仕組みについてご説明します。

有給休暇が取得できる条件、有効な期限、有給休暇の増え方、計算方法、有給休暇が取得できない場合の罰則までわかりやすくご説明いたします。

有給休暇が取得できる条件とは?

まずは、有給休暇の基本的な内容から理解していきましょう。有給休暇取得の条件、有給の最大日数、付与のタイミング、時効(期限)について、ご説明いたします。

①有給休暇はいつから誰がどのような条件で取得できる?

「正社員で就職したら、有給はついてくるもの」と考えている方も多いですが、実際いつから、どれくらいの有給休暇が取得できるのでしょうか?

有給休暇に関する規定は、労働基準法39条に定められています。

当該規定によると、下記のように規定しています

「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」

つまり、簡単に言うと、以下の条件で取得できます。

① 労働者であること
② 雇用されて6ヶ月以上が経過
③ 仕事の日の8割以上出勤をしている

まず「いつから」ですが、基本的に通常通り勤務して6ヶ月以上が経過すれば『10日間』の有給休暇が取得できるようになります。

有給休暇は、労働者が休暇を取るための権利ですので、条件を満たしている場合は、問題なく取得できるのが原則です。

とはいっても、実際上は有給休暇を取得しにくいなどの問題があったため、2019年に「1年の有給休暇のうち5日は取得しなければいけない」ことが法律で義務付けられました。

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このように、雇用から6ヶ月が経過していれば『10日間』が付与されます。このうち5日間は必ず取得しなければいけないため、この点を覚えておきましょう。

②有給の最大の年間取得日数・法定付与日数

では有給は最大でどれくらい取得できるのでしょうか?また有給休暇付与のタイミングや、時効についてもみていきましょう。

まず、1年間の有給の最大の年間日数は20日間です。

雇用されて半年経過してから10日付与され、1年ごとに1日、2年6ヶ月からは2日付与され、6年と6ヶ月で20日となります。

雇入れ後の継続勤務年数 6ヶ月 1年6ヶ月 2年6ヶ月 3年6ヶ月 4年6ヶ月 5年6ヶ月 6年6ヶ月以上(8年以上)
法定付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

*表は、週所定労働時間が30時間以上の労働者、及び週所定労働日数が5日以上(又は1年間の所定労働日数217日以上)の労働者の場合

つまり、雇用されて1年目の有給休暇と2年目の有給休暇では、わずかですが1日か2日の差があることがわかります。

なお、義務である5日間の取得を除き、その他の日数である5-15日間は次の年に持ち越すことも可能です。

具体的に言うと、6年7ヶ月の雇用期間があるとして、この年に20日の有給休暇が付与されます。これまで持ち越した15日間の有給があるとします。それに加えて1年間の年次有給である20日を加えて35日間有給が取得できることになるのです。

③有給の有効な期限・消滅時効について

また有給休暇には消滅時効・期限が定められています。労働基準法115条によると、発生した日から2年で時効消滅となるのでできるだけ早く使うようにしましょう。

このように、有給休暇は10日が付与された後は毎年1日付与され、5日以上は持ち越すことができます。そして、使わない場合には2年経つと時効となってしまうことを覚えておきましょう。

有給休暇の付与日数の計算方法。具体例は?

ご自身の有給休暇が実際にどれくらい取得できるのか、知りたい方もいらっしゃるでしょう。そこで、有給休暇の計算方法をご説明いたします。

有給休暇を計算する方法・増え方

正社員で勤めている方は、あとどれくらいの有給が残っているのか知らないという方もいらっしゃるかもしれません。実際に計算してみると、かなりの日数が残っているかもしれませんので、実際にどのように有給が増えているか計算してみることをおすすめします。

ここでは正社員の場合の有給休暇の計算方法についてご説明いたします。具体的には以下の通りです。

① 出勤率を計算すること
② 継続勤務年数から有給休暇付与日数を割り出す

まず、出勤率を計算します。有給休暇は全出勤日の8割以上出勤していないと取得できません。

なお、出勤日として数えて良い日には、育児休暇、介護休暇、労災による休業、有給休暇を取得した日も含まれます。

具体的には、「出勤日÷全労働日(その期間の所定労働日数)×100)」で計算してみましょう。

例) 新卒4月入社で翌年3月末現在だとする。年間休日が120日だとすると全労働日数が245日となります。このうち有給休暇2日取得して、その他に10日休んだとすると、233÷245×100=95%となります。

出勤率を満たす場合は、次に有給休暇付与日数を計算します。

有給休暇付与日数については、雇用されて何年何ヶ月になるかからわかります。

先にご説明したように、6ヶ月が経過すると10日付与され、その後1年経過ごとに1日増えます。2年半が経過すると、年ごとに2日付与され20日が最大です。

例)5年半の場合、10日+(1×2日)+(3×2日)=18日間が有給休暇付与日数

有給休暇計算時の注意点3つ|基準日が変更されてる?

有給休暇の計算は、上記で示した通りそれほど難しいものではありません。しかし、計算の際のポイントを間違えると、日数が変わってしまう可能性があります。具体的には、以下の点に注意してください。

① 有給休暇付与の基準日(通常は雇用から6ヶ月経過の日)
② 有給休暇の繰り越し日数の追加
③ 消滅時効にかかった日数を減らすこと

まず、有給休暇付与の基準日を間違えないようにしましょう。通常は雇用から6ヶ月経過の日ですので、4月1日入社の場合は10月1日に付与されます。

しかし、多くの社員の有給休暇を効率的に計算するために、「基準日が変更されている場合」があります。

この場合は、他の月に統一されている可能性もあるので就業規則を確認してみましょう。ちなみに、付与日を変更する場合は、次年度の有給休暇をその年に付与することになります。

また1年で有給休暇を消化しきれなかった年がある場合には、その分が繰越で追加されるため有給休暇日数に追加する必要があります。

さらに、何年も消化できない有給休暇がある場合は、発生から2年で時効ですので、この点にも注意する必要があるでしょう。

このように、計算上の注意点がいくつかありますので、実際に計算する際に頭に入れておいてください。

有給を取得させない場合の罰則は?

最後に、有給を取得させてもらえなかった場合にどのような罰則があるのかをご説明いたします。またこれに対する対処法も見てきましょう。

有給休暇を取得できない場合の罰則

有給休暇を取得したいのに、会社が通常の休み扱いにするなどの問題があります。この場合、雇用主側に罰則などは課せられないのでしょうか?

原則として、有給休暇の取得は会社側が阻止することはできません。有給休暇の取得は法律上定められた労働者の権利であるためです。

例外的に、繁忙期などの時季変更権を行使できる場合などを除きますが、労働者は好きなときに有給休暇を取得することができます。有給休暇に理由が必要と考える方も多いですが、特に理由を説明する必要もありません。

仮に、有給休暇の取得ができない場合には「雇用主」が労働基準法119条1号により「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」に処される可能性があります。

有給休暇が取得しにくい社内の環境があるかもしれませんが、有給休暇の取得は労働者として当然の権利です。上司に拒否された場合や圧力をかけられた場合、まずは社内の人事部に相談したり労働組合に相談したりするなどの方法を考えましょう。

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有給休暇が取得できない場合の対処法

有給休暇が十分に取得できないと、十分に休みが取れないことで心身の不調が発生したり、精神的にも辛い状況に追い込まれてしまったりする恐れがあります。もしこのような問題が発生している場合には、先にお伝えしたように社内の相談先に相談してみてください。

しかし、場合によっては会社が違法な体制を強いているケースもあるため、相談しても意味がないこともあります。

このような場合には、外部相談先にも相談すべきです。例えば、法律で義務付けられた5日間の有給休暇を取得できない場合には、労働基準監督署に相談すれば、調査を行ってもらえます。

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指導や勧告がはいることにより環境が変化する可能性はあります。また悪質な場合には刑事告訴することも可能です。

また弁護士に相談することも検討してみましょう。有給やその他の休みが十分に取れずに心身の不調をきたした場合などは損害賠償請求も可能です。また有給をきちんと取得させるように警告書を送付することもあります。

以上から、有給休暇を取得できないという違法な状況がある場合には、しかるべき機関、弁護士に相談してみましょう。

有給休暇取得に問題がある場合は、弁護士に相談を

「有給休暇を取得したいのに取得できない」、「有給休暇のはずなのに給料が減らされていた」などの問題がある場合は、労働問題に強い弁護士にご相談ください。

本来はどれくらいの有給休暇が取得できるのかの計算から、会社に対しどのように対応していけば良いのかの助言まで行います。

法律の専門家である弁護士であれば、労働問題の相談も安心です。会社に知られずに相談できますので、まずはお気軽にご相談ください。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は労働問題弁護士カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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