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労働基準監督署(労基署)の役割とは|他の機関との違い・相談できること

労働者の悩み 労働問題の相談
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労働者が勤務先との関係で問題を抱えてしまった場合には、労働基準監督署(労基署)に相談するのが良いと聞いたことがある方も多いでしょう。

この労働基準監督署(労基署)とは、いったいどのような組織なのでしょうか。
似たような名前の組織も多いため、一般の方からは少々わかりにくいかもしれません。

そこでこの記事では、労働基準監督署(労基署)の位置づけやその役割などについて詳しく解説します。

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労働基準監督署(労基署)は厚生労働省の「地方支分部局」

まずは、労働基準監督署(労基署)はどのような位置づけの組織なのかについて解説します。
労働基準監督署(労基署)は、厚生労働省の地方支分部局(国家行政組織法9条)として設立された組織です。
地方支分部局とは、簡単に言えば、本来国が行うべき事務を地方にまで行き渡らせるために設置された出先機関のことです。

労働者保護の観点から事業主を監督することが役割

労働基準監督署(労基署)の役割は、一言で言えば「労働者の保護」となります。

労働者は使用者(事業主)に対して社会的に弱い立場に置かれることが多いため、労働基準法などの労働関係法令によって、その権利を保護されています。
労働基準監督署は、こうした法令に基づく労働者の権利を守るため、各事業主が労働関係法令を適切に遵守しているかどうかについて監督することを使命としています。

こうした役割は本来国(厚生労働省)が果たすべきものですが、一方で各事業主の監督は、地域に根ざした事情も考慮して行う必要があります。
そのため、厚生労働省の地方支分部局である労働基準監督署(労基署)を設置して、地域に密着した監督事務を行うこととされているのです。

労働基準監督署(労基署)は市区町村単位で設けられている

労働基準監督署(労基署)は、基本的に複数の市区町村をまとめたブロックごとに設けられています。
どこの労働基準監督署(労基署)に管轄があるかを決定する際には、勤務先の所在地が基準となります。

労働基準局、労働局、労働委員会などの他の機関との違いは?

労働に関する公的な機関には、労働基準監督署(労基署)以外にも、労働基準局・労働局・労働委員会などがあります。

似たような名前でややこしいかもしれませんが、それぞれの機関は位置づけや役割が異なりますので、ここで整理しておきましょう。

労働基準局は厚生労働省の「内部部局」

労働基準局は、労働基準監督署(労基署)と同じく、厚生労働省の業務のうち労働に関連する問題を取り扱う機関です。
しかし、労働基準局は厚生労働省(本省)の内部部局という位置付けになります。
そのため、労働問題の中でもより政策寄りの課題を取り扱う機関となっています。

労働局は都道府県単位で設定される労働基準監督署(労基署)の上位機関

市区町村レベルで設定される労働基準監督署(労基署)に対して、労働局は都道府県単位で設置される上位機関という位置付けになります。

法律上も、労働基準監督署(労基署)は、都道府県労働局の所掌事務の一部を担当するという建付けになっています(厚生労働省設置法21条1項)。

労働委員会は厚生労働省の「外局」として紛争解決をサポート

労働委員会は、労使間の紛争を解決することを主たる目的として設置されている、厚生労働省の「外局」です。
外局であるがゆえに、労働委員会は厚生労働省(本省)からはある程度独立した立場にあります。
もし労使間で紛争が発生してしまい、話し合いがうまくいかない場合には、労働委員会の紛争解決手続き(あっせん・調停・仲裁)を利用するケースも考えられます。

労働基準監督署(労基署)は労働者の味方|労働者が相談できること

労働基準監督署(労基署)の責務は、労働者の権利を保護することです。
もし労働者が使用者から権利を侵害していると感じていたり、使用者との間で揉めてしまったりした場合には、労働基準監督署(労基署)に相談することも選択肢のひとつになります。

労働基準監督署(労基署)は、労働者からの労働に関係する相談を随時受け付けています。
労働基準監督署(労基署)への相談事項の具体例を見ていきましょう。

未払賃金に関する相談

未払賃金に関する相談は、労働者から労働基準監督署(労基署)に寄せられる典型的な相談のひとつです。

たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 残業代が全く支払われていない
  • 実際の残業時間と比較して明らかに残業代が少ない
  • 固定残業代の名目で残業代がカットされている
  • タイムカードに残業記録を付けさせてもらえない

こうしたケースでは、使用者が労働基準法に違反している可能性がありますので、労働基準監督署(労基署)にとっても関心が高い問題といえます。

最低賃金に関する相談

使用者が労働者を雇用するに当たっては、最低賃金法により地域ごとに定められる最低賃金を上回る賃金を支給しなければならないものとされています。

しかし、実際には最初から最低賃金を下回る賃金が設定されていたり、残業代が正しく支払われない結果として最低賃金を下回っていたりするケースが後を絶ちません。
このようなケースは法令違反として、労働基準監督署(労基署)による取り締まりの対象となります。

長時間残業に関する相談

使用者が労働者に対して違法な長時間残業を強いているケースもよく問題になります。

労働基準法32条では、使用者は労働者に対して、週40時間・1日8時間を超えて労働させることを禁止しています。
労働基準法36条1項に基づく労使間の協定(いわゆる「36協定」)が締結されれば、例外的に時間外労働を行わせることができます。
しかし、36協定がある場合でも、時間外労働は原則として1か月45時間・年間360時間が上限とされています(同条4項)。

こうした時間外労働に関する規制に違反している事業者が、世の中には一定数存在していることも事実です。
そのため、労働基準監督署(労基署)はこうした違法な時間外労働を強いられている労働者から事情を聞いて、事業者に対する処分の要否を判断しています。

不当解雇に関する相談

不当解雇の問題も、労働問題の中では大きなウエイトを占めるものの一つです。
労働契約法16条には「解雇権濫用の法理」が規定されており、会社都合により労働者を解雇するためのハードルは非常に高くなっています。

それにもかかわらず、使用者の一方的な都合で簡単に従業員を解雇するようなケースもしばしば見受けられます。
労働基準監督署(労基署)は、こうした不当解雇の事例に対しても目を光らせ、労働者の雇用が最大限維持されるように努めています。

労災に関する相談

労働基準監督署(労基署)では、労災保険に関する相談も受け付けています。
たとえば労災保険の給付を受ける方法や、会社が労災を認めてくれない場合の対処法などについてのアドバイスを受けることができます。
労災による怪我や疾病に悩んでいる方は、労働基準監督署(労基署)に相談してみることも有効でしょう。

労働基準監督署(労基署)には事業主も相談可能

労働基準監督署(労基署)は労働者の権利を守るための機関ですが、事業主に対しては労働関係法令を遵守した事業運営をすることを求めています。
そのため、事業主からの労働関係法令に関する質問に対する回答も行っています。

労働関係法令についての不明点を質問

事業主が事業を運営する上で、労働関係法令に関してよくわからない点が出てきた場合には、労働基準監督署(労基署)に取り扱いを質問してみるのが良いでしょう。

たとえば36協定の締結に関する手続きについて質問したり、従業員に支給する給与が最低賃金を下回っていないかの確認をしたりするなどが考えられます。

労働基準監督署(労基署)の回答を確認してから行動することにより、法令違反が発生する可能性は大きく減少します(労働基準監督署(労基署)の見解が常に正しいというわけではありません)。

労務に関して迷ったら、まずは労働基準監督署(労基署)に質問をしてみましょう。

各種申請の手続きに関する質問

事業主が労働関係法令上取る必要のある手続きについても、労働基準監督署(労基署)に質問をしながら行えば確実です。

たとえば労災保険への加入手続きや給付手続き、36協定の届出に関する手続きなどについて、やり方がわからない場合は労働基準監督署(労基署)に質問をしてみましょう。

労働基準監督署(労基署)はあくまでも監督官庁|弁護士などとは異なる

労働基準監督署(労基署)は労働者の味方であると説明してきましたが、労働基準監督署(労基署)はあくまでも監督官庁という立場から労働者を守っているに過ぎません。
つまり、労働者の代理人として行動してくれる弁護士などとは異なるということを理解しておく必要があります。

たとえば、残業代を払ってくれない使用者に対して労働者への賃金の支払いを直接命じたり、最低賃金法に違反している使用者に対して不足賃金分の補填を命じたりしてくれるわけではありません。
労働基準監督署(労基署)は、あくまでも使用者による法令違反の事実を把握した上で、使用者に対して業務の是正を求める行政処分を行うにとどまります。

労働者が自身の権利を使用者に対して直接主張したいと考える場合には、弁護士に依頼をすることをおすすめします。

まとめ

この記事では、労働基準監督署(労基署)の位置づけや役割などについて解説しました。

労働基準監督署(労基署)は労働者を守るための機関です。
仕事の関係でトラブルや悩みを抱えている労働者の方は、一度労働基準監督署(労基署)に相談をしてみてはいかがでしょうか。
問題を解決するための指針を見つけることができるかもしれません。

その上で、もし労働問題に関してより専門的なサポートを受けたいという場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。

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