スポンサーリンク

不当解雇とは|法律や事例、適法な解雇との違いなどをわかりやすく解説

不当解雇・雇止め・退職
スポンサーリンク

会社に雇われている労働者が、ある日突然会社から解雇されてしまうと、その日から生活の糧を失ってしまうことになりかねません。

労働者は、会社と比較して経済力や社会的地位の面で大きく劣るため、日本の労働法上、会社が労働者を解雇することは厳しく制限されています。
そのため、会社から突然解雇されてしまったら、まずは「不当解雇」ではないかと疑いましょう。

この記事では、不当解雇に関する法律や事例、適法な解雇との違いなどについて、専門的な視点からわかりやすく解説します。

スポンサーリンク

不当解雇とは?

まず、不当解雇とはそもそも何なのかということについて解説します。

会社と労働者は契約関係|自由に解雇できるわけではない

会社と労働者の間には、「労働契約」という契約関係が存在します。
契約は、当事者双方の合意によって成立するものなので、契約を終了する際にも当事者双方の合意が必要となるのが原則です。

しかし、解雇はこの労働契約を会社の側から一方的に打ち切る行為です。
契約の原則からすれば、当然会社が自由に労働者を解雇できるわけではなく、解雇には労働契約上の根拠が必要となります。

つまり、労働契約上の根拠を欠く解雇は法律上の根拠がなく、「不当解雇」であるということになります。

労働者の方が会社よりも立場が弱い|解雇は厳しく制限される

さらに、労働契約に書いてあればどんな解雇事由でも認められるというわけではありません。
一般的に、労働者は社会的・経済的に会社よりも弱い立場に立たされています。
そのため、労働契約の内容も会社にとって有利に作られてしまうことが非常に多いといえます。

上記の実情に鑑み、労働法は労働者を厚く保護し、解雇が認められる場合を厳しく制限しています。
このように、たとえ労働契約上の解雇事由に該当するとしても、労働法との関係でその解雇が違法無効である場合には、「不当解雇」であるということになります。

不当解雇とは似て非なるもの|通常の解雇、リストラ、退職勧奨との違い

不当解雇について詳しく解説する前に、不当解雇と同様に労働者が退職を迫られる①通常の解雇②リストラ③退職勧奨について、不当解雇との違いを明らかにしておきます。

通常の解雇

通常の解雇は「不当ではない解雇」、つまり労働契約上の解雇事由を理由として行われ、かつ労働法上も適法と認められる解雇をいいます。

どのような場合に適法に解雇を行うことができるかの例については、後で解説します。

リストラ

「リストラ」は法的な用語ではありませんが、一般的には「整理解雇」を指します。
整理解雇とは、会社の業績悪化などを理由として、会社の人員を削減するために行われる解雇をいいます。

ただし、会社の業績が悪いからといって、いつでも会社が自由に労働者を解雇できるわけではありません。
整理解雇を行うためには、「整理解雇の4要件」を満たす必要があります。
詳しい要件については後で解説します。

整理解雇の4要件を満たさない整理解雇(リストラ)は、不当解雇として違法・無効となります。

退職勧奨

「退職勧奨」は解雇とは異なり、労働契約の終了について労働者に同意してもらうよう、会社が労働者に対して働きかける行為をいいます。
つまり、退職勧奨は労働契約の「合意解約」を目指しているという点で、会社の一方的な行為である解雇とは異なります。

労働者としては、退職勧奨に応じる義務はありません。
ただし、退職勧奨を拒否した結果として解雇が行われた場合には、その解雇について、不当解雇であるかそうでないかの検討を行う必要があります。

どのような場合が不当解雇に当たる?

以下では、具体的にどのような解雇が不当解雇に該当するのかについて解説します。

法律上明文で解雇が禁止・制限されている場合

労働者の権利を守るための法律である労働基準法では、労働者を保護する観点から、一定の場合について解雇を明文で禁止または制限しています。

これらの禁止または制限に反して、会社が労働者を解雇した場合には、当然ながら不当解雇に該当します。

労働基準法上、解雇が禁止されている場合は以下のとおりです。

  • ①労働者が業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業する期間およびその後30日間において行われる解雇(労働基準法19条1項)
  • ②産前産後休業期間およびその後30日間において行われる解雇(同)
  • ③30日前の解雇予告をせず、かつ30日分以上の平均賃金に相当する解雇予告手当を支払わずに行う解雇(労働基準法20条1項)
  • ④裁量労働制に伴うみなし労働時間制に同意しなかったことを理由とする解雇(労働基準法38条の4第1項第6号)
  • ⑤高度プロフェッショナル制度の適用に関する同意をしなかったことを理由とする解雇(労働基準法41条の2第1項第9号)
  • ⑥行政官庁または労働基準監督官に、会社の労働基準法違反を申告したことを理由とする解雇(労働基準法104条2項)

解雇権の濫用に該当する場合

労働契約法16条では、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇については、権利濫用として無効となる旨を定めています。
これを「解雇権濫用法理」といいます。

どのようなケースが解雇権の濫用に該当するかは、具体的な事例に応じて判断されます。
解雇権濫用の代表例は、以下のとおりです。

  • 整理解雇の4要件を満たさない、会社の経営不振を理由とする解雇
  • 労働者に対して十分な教育を行っていない状況にもかかわらず、能力不足を理由とする解雇
  • 改善の注意、勧告を十分に行っていない状況にもかかわらず、業務態度を理由とする解雇
  • 十分な調査をしないままに行われる懲戒解雇

不当解雇に該当しない場合とは?

一方、きちんと労働契約上の解雇事由を満たし、かつ労働法上も解雇が認められるための要件を満たす解雇については、法的に正当なものとして認められます。
しかし現実には、正当な解雇を行うための要件は相当に高いといえます。

具体的にどのような場合が正当な解雇に該当するのかについて、代表的な例を紹介します。

整理解雇の4要件を充足する場合

経営不振を理由とする整理解雇は、整理解雇の4要件を総合的に考慮して、解雇が相当であると認められる場合に限り、適法として認められます。
整理解雇の4要件は以下のとおりです。

①人員整理の必要性があること

売り上げや利益の大きな減少などにより、客観的に見て経営危機に瀕しているといえる状態であることが必要です。

②整理解雇を回避するための努力が行われたこと

コスト削減のための整理解雇は最後の手段であり、それ以外に会社が取ることのできる代替手段を尽くしても、なお整理解雇がやむを得ないといえることが必要です。
代替手段としては、以下のようなものが考えられます。

  • 労働時間の短縮
  • 配置転換
  • 希望退職の募集
  • 新規採用の中止
  • 一時帰休
  • 人件費以外の部分での経費削減
  • 各種助成金の利用

③解雇対象者の選定が合理的であること

誰を整理解雇の対象とするかについて、客観的かつ合理的な基準に従って選定することが必要です。

④解雇手続きが妥当であること

労働者側との間で、整理解雇に関する十分な協議が行われたことが必要です。
整理解雇の場合、労働者本人はもちろんのこと、労働者が所属する労働組合との協議も行う必要があります。

労働者に重大な規律違反があった場合

労働者の側に犯罪行為があったり、就業規則違反に該当する行為が認められたりする場合には、就業規則上の懲戒規定に従い、懲戒解雇が認められる場合があります。

たとえば、労働者が法令や会社の内部規則に対して重大な違反行為を行った場合には、懲戒解雇事由に該当する可能性があります。
ただし、実際に懲戒解雇を行う場合には、事前に労働者から十分に事情を聴取した上で、懲戒解雇を行っても問題ないかを法的な観点から慎重に精査する必要があるでしょう。

労働者の能力に著しく問題がある場合

労働者の能力不足を理由とする解雇については、労働者の能力にはかなりのばらつきがあることが普通であることを考えると、かなりハードルが高いといえます。
しかし、労働者の能力に著しく問題があり、通常の業務に耐える水準に到底達しないと判断される場合には、例外的に能力不足を理由とする解雇が認められる場合があります。

不当解雇に対する罰則は?

不当解雇を行った会社に対する制裁は、基本的には労働者に対する損害賠償などの形で金銭によって行われます。

しかし、労働基準法上明文で禁止または制限されている以下の解雇を違法に行った場合には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されることになります(労働基準法119条1号)。

  • ①業務上の負傷・疾病による療養、または産前産後休業に関する解雇制限期間中の解雇(労働基準法19条1項)
  • ②解雇予告がなく、かつ解雇予告手当の支払いがない解雇(労働基準法20条)
  • ③行政官庁や労働基準監督官に対する申告を理由とする解雇(労働基準法104条2項)

不当解雇をされてしまった場合の対処法

労働者の方が不当解雇の被害に遭ってしまった場合、会社に対して労働者としての正当な権利を主張する必要があります。
以下では、不当解雇に遭ってしまった場合に労働者が取るべき対処法について解説します。

まずは弁護士に相談する

不当解雇は法律上の問題ですので、まずは法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士を伴って会社と交渉することにより、もともと労働者と会社の間に存在する交渉力の差を埋めることができます。
また、交渉が決裂して法的手続きに移行する際にも、弁護士に依頼をしていればスムーズに手続きを進めることができます。

会社に対して解雇の無効を訴える

会社と交渉を行う際には、「不当解雇は無効であり、自分は依然として従業員としての地位を有する」ということを主張しましょう。

実際には、「不当解雇をした会社なんかに戻りたくない」と考える方の方が多いかもしれません。
しかし、会社に戻って働きたいかどうかは別として、不当解雇後の期間に対応する賃金を支払ってもらうために、解雇無効の主張が必要となります。

なお、解雇の不当性については、後で法的手続きに発展することを見据えて、証拠により立証できるようにしておく必要があります。
そのため、解雇に関する会社とのやり取りは逐一記録しておくように努めましょう。

会社に対して就労不能期間分の賃金(+慰謝料)を請求する

上記のとおり解雇が無効であることを前提とすると、労働者は、不当解雇後も従業員としての地位を有することになります。
しかし、その間労働者は、会社の責めに帰すべき事由により就労することができず、そのため対応する賃金が支払われていない状態です。
このような場合には、労働者はその期間分の賃金を会社に対して請求することができます(民法536条2項)。

また、不当解雇の悪質性が高い場合には、就労不能期間分の賃金に加えて慰謝料を請求できる場合もあります。

交渉がうまくいかない場合の手続きは?|労働審判・訴訟

会社との交渉がうまくいかない場合には、法的手段により上記の権利を会社に対して主張することになります。

労働者が取れる法的手続きには、労働審判と訴訟の2つがあります。

①労働審判

労働審判は、裁判官1名と労働審判員2名で構成される労働審判委員会が、会社と労働者双方の言い分を聞いた上で審判の形で解決案を提示する手続きです。
労働審判は原則として3回以内に審理が完結するため、訴訟に比べて迅速な手続きであるという特徴があります。

②訴訟

労働審判の結果に不服がある場合や、時間をかけて徹底的に会社と争いたいという場合には、訴訟の提起を選択することになります。
訴訟ではおおむね1か月に1回のペースで口頭弁論が行われ、裁判所が当事者双方から話を聞いて、判決の形で解決案を提示します。

労働審判・訴訟のいずれも、当事者は自らの主張を証拠によって裏付けなければなりません。
そのため、きちんとした証拠を準備することが重要になります。

労働審判や訴訟の準備に関しては、法律の専門家である弁護士と協力して行うことをおすすめします。

まとめ

日本の労働法上、会社が労働者を解雇することは、よほどのことがない限り認められないというのが実情です。

そのため、労働者の方が突然会社から解雇されてしまった場合には、まずは不当解雇を疑いましょう。

もし不当解雇に遭ってしまった場合、会社に対して正当な権利を主張するため、お早めに弁護士へご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました