労働基準監督署(労基署)に通報したその後|意味ない?相談するとどうなる?
労働基準監督署(労基署)に通報したその後はどうなるのか、意味ないのか?相談するとどうなる?と感じている人が多いでしょ…[続きを読む]
給料日が過ぎているのに給料が振り込まれていない。そのため、生活ができなくなるおそれがあるがどこに相談すればよいかわからない!。
上記のようなお悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、このような給料の未払いが起こった場合に、労働基準監督署、警察、弁護士、その他の専門家等のどこに相談することができるのか?、また相談したとしてどのようなことをしてもらえるのかなどをわかりやすく解説していきます。
目次
労働者に給料(賃金)を支払わないことは労働契約違反、ならびに労働基準法第24条違反です。
相談を受け付けてもらえる機関や専門家に相談する前に給料が未払いであることの証拠を集めておくべきです。
機関によっては、証拠がなければ迅速に受け付けてもらえないことがありますし、証拠が集められていれば、相談等がスムーズに行うことができます。
給料不払いの証拠は、例としては、次の物が挙げられます。
これらの証拠を用いて労働契約の内容を明らかにし、賃金、労働時間、給料等の締め日、支払期日などを証明する必要があります。
消滅時効とは、請求する権利があるのに請求をしなかったため、一定の期間が経過すれば、請求権が消滅し、相手方に支払い等の請求ができなくなる制度のことをいいます。
給料(賃金)の支払いの請求権の時効は、現在は3年間であるため、この期間が経過してしまうと支払いの請求をしても通常、会社が応じることはないと考えられます。
そのため、3年間を経過する前に早めに相談をするべきです。
給料未払いをどこに相談するかと考えた際に、一番最初に思いつくのは労働基準監督署かもしれません。
労働基準監督署(以下、「労基署」といいます。)は、労働に関する法律に違反する会社を取り締まる厚生労働省の出先機関のことをいいます。
労基署では、まず給料の未払いについての相談をすることができます。この際に既に解説したとおり、給料の未払いについての証拠などを準備できていれば相談がスムーズにすることができます。
労基署が、会社を訪問し、事実関係を調査することがあり、労働基準法に違反する事実がないかを確認することとなります。
会社が労働基準法に違反することが明らかになれば、労基署は、当該会社に対し、問題を解決するように「是正勧告」を行います。
具体的には、給料の未払いがあるのであれば、それを支払うように勧告することとなります。
労基署は、労働基準法に違反した会社に対して問題を解消するように求めることができますが、未払いの給料の支払いを会社に義務付けるまたは命令することはできません。
そのため、会社によっては、労基署の是正勧告に従わないことが想定されますので、解決の実効性は確実とまではいえません。
労働条件相談ほっとラインは、労働基準法などその他の労働に関する法律の問題について、専門知識を持つ相談員に無料で相談や各関係機関の紹介などを行うことのできる電話相談のことをいいます。これは厚生労働省委託事業の一つであり、厚生労働省から運営を委託された事業者が行う事業です。
給料の不払いについての相談をすることも可能であり、また無料ですので利用しやすい制度といえます。
労働条件相談ほっとラインは、無料で電話相談ができ、気軽に相談しやすいとのメリットがあります。
もっとも、労働条件相談ほっとラインは、あくまで相談や法的なアドバイスないし関係機関の紹介を行うにとどまり、会社に指導等をすることはできません。
そのため、会社に給料の支払いを指導するなどはできないので、解決の実効性は確実とはいえません。
弁護士は、法律の専門家で、様々な労働問題に対応していますので、給料の未払いの問題に対応してもらえます。中でも多くの労働問題を取り扱う事務所がありますので、相談してみると心強いでしょう。
相談するにあたっては既に解説したとおり、給料が未払いであることの証拠を持参すれば、相談をスムーズにすることができます。
弁護士に依頼した場合で、いきなり裁判をする前に内容証明郵便で、会社に給料の支払いを求めることが少なくありません。
内容証明郵便とは、どのような内容の文書を誰に送付したかを証明できる郵便局の行うサービスの一つです。
弁護士に依頼して、会社に内容証明郵便を送付する場合は、単に給料を請求するのみならず、後に裁判になることも想定して、内容証明郵便を送付したこととその内容が裁判における証拠となるようにするなどの配慮をしてもらえます。
労働審判は、個々の労働者と事業主(会社)との間の労働関係のトラブルを、その実情に即し、迅速かつ実効的に解決するための裁判手続きの一つです。
労働審判では、法律の専門的な知識等が必要となる場合が少なくありませんので、弁護士を代理人として手続きを進めることが無難でしょう。
早期に紛争を解決する手段としては有効といえます。
労働審判で話し合いがまとまると、調停が成立することとなります。調停が成立するとその内容は調書に記載され、強制執行を申し立てることができる場合があります。
つまり、会社に未払いの給料の支払いを強制的に実現することが可能となります。この点については、給料の未払いを解決することができるといえそうです。
話し合いがまとまらない場合には、裁判所が一定の判断を示すことができます。この場合にも会社が裁判所の判断に異議申し立てをしなければ、裁判所の判断の内容で労働審判が確定します。そのため、裁判所が会社に未払いの給料の支払いを判断した場合には、その判断に基づいて、会社に未払いの給料の支払いを強制的に実現させることができます。
会社が裁判所の判断に異議申し立てをした場合には、裁判所の判断は効力を失うこととなり、会社に未払いの給料の支払いを強制させることができません。
そのため、会社から異議申し立てがされると給料の未払いの解決は労働審判ではすることができないこととなります。
労働審判で異議申し立てがされた場合には、通常の訴訟手続きに移行することとなります。
また労働審判をしなくとも、紛争が生じた時点で訴訟を提起することもできます。
その際には、労働審判と同様に法律の専門的な知識が必要となりますので、弁護士に代理を依頼することが無難でしょう。
司法書士も弁護士と同様に裁判における通常の訴訟手続きの代理人となることができます。
もっとも、司法書士が代理できる範囲は簡易裁判所を管轄とする請求額が「140万円を超えない事件」に限られます。
社会保険労務士の中で認定を受けた者は、裁判外で行われる話し合い(「裁判外紛争手続き」といわれます)の代理人になることができます。
社会保険労務士は「労働関係の法律の専門家」ですので、裁判までする必要がない状況でさえあれば、依頼することが良い場合もあります。
警察は、窃盗、詐欺、傷害または殺人などの刑事事件に関してはもちろん対応します。もっとも、給料の未払いは「基本的には民事事件」であるため、警察が取り扱ってくれることは困難でしょう。
なお、給料の未払いは、労働基準法に違反し、罰金刑の定められた犯罪にあたりますが、警察ではなく、労働基準監督署が取り締まる権限を持っています。
そのため、警察に相談した場合には、警察で対応せず、労働基準監督署に申告するように勧められることとなります。
会社が労働者に給料を支払わないことは違法であり、罰金の対象になります。相談する際には、給料が未払いであることの証拠を集めておく方がスムーズに進みます。
給料未払いが続くと生活ができないほど苦しくなるときもあります。そのようなときはすぐに弁護士に相談すべきです。
労働基準監督署では、会社に対し給料を支払うように是正勧告をすることができます。ただし、この是正勧告には強制力はありません。労働条件相談ほっとラインでは具体的な問題解決のための指導等はできないものの、専門家による無料の電話相談をすることができます。
弁護士は、労働審判、訴訟の代理人となり、未払いの給料の支払いを求めることができます。裁判になることが見込まれる場合には弁護士に相談することが無難です。