未払い残業代の遅延損害金(遅延利息)ってどれくらい?請求できるの?

未払いの残業代がある場合に、それを会社に請求するのは当然です。

ただ、その際には未払い残業代の「遅延損害金」も請求することができます。

遅延損害金は、未払い残業代の支払が遅れれば遅れるほど金額が増えていきますので、遅延損害金の請求をすることにより未払い残業代のトラブルが早期に解決できる可能性が高くなります。

今回は、未払い残業代の遅延損害金の内容と請求方法などについてわかりやすく解説します。

1. 未払い残業代と一緒に遅延損害金も請求できる

未払い残業代がある場合には、遅延損害金を請求することができます。

(1)遅延損害金とは

遅延損害金とは、金銭債務の履行が遅れたときに生じるペナルティの一種であり、一定の利率で計算した遅延利息のことをいいます。

労働者が残業をした場合には、会社は、給料日に本来の給料と一緒に残業代の支払いをしなければなりません。

期日までに残業代の支払いがない場合には、債務不履行となりますので、労働者は、会社に対して、遅延損害金を請求することができます。

(2)未払い残業代の遅延損害金の利率

未払い残業代の遅延損害金は、会社に在籍中はもちろんのこと、会社を退職した後であっても請求することができます。

ただし、会社に在籍中と会社を退職後では、遅延損害金の利率が異なりますので注意が必要です。

① 会社に在籍中の遅延損害金の利率

会社に在籍中に遅延損害金を請求する場合には、民法の法定利率が適用されますので、その場合の利率は年3%となります。

未払い残業代の遅延損害金は、以下のような計算式によって計算します。

  • 未払い残業代の金額×遅延損害金の利率×遅延日数

遅延日数は、支払い期日の翌日から実際に支払いがなされるまでの日数でカウントします。

残業代の支払期日は、各給料日になりますので、未払い残業代の遅延損害金は、各月の給料ごとに計算しなければなりません。

② 会社を退職後の遅延損害金の利率

会社を退職後に遅延損害金を請求する場合には、「賃金の支払の確保等に関する法律」が適用されますので、その場合の利率は年14.6%となります。

退職するまで残業代の支払いを放置するのは悪質であることから、在籍中の遅延損害金よりも大きなペナルティが課されます。

退職後の遅延損害金は、退職日の翌日から退職金全額について発生します。そのため、退職後に遅延損害金を請求する場合には、在籍中の遅延損害金と退職後の遅延損害金を区別して計算しなければなりません。

2. 未払い残業代の遅延阻害金と付加金の違い

遅延損害金と同様に残業代の未払いがあった場合のペナルティとして、「付加金」というものがあります。

付加金とは、未払いの残業代の支払いとは別に、未払いの残業代と同額の支払いを課される制裁金のことをいいます。

労働基準法では、時間外・休日・深夜労働の割増賃金の支払い義務に違反した場合に、裁判所が未払い残業代と同一額の付加金の支払いを命じることができると定められています(労働基準法114条)。

遅延損害金と付加金は、どちらも残業代の支払いを怠った会社へのペナルティという点では共通します。しかし、付加金は、裁判所の命令があって初めて発生するものですので、労働者から会社に対して請求することはできません。

また、「支払いを命じることができる」とされているように、残業代の未払いがあったからといって必ず裁判所が支払いを命じるわけではなく、労基法違反の程度、態様、労働者に生じる不利益の内容などを考慮して、付加金の支払いの有無が判断されます。

3. 未払い残業代の遅延損害金を請求する方法

会社に対して、未払い残業代の遅延損害金を請求するときは、以下のような方法で行います。

(1)会社との交渉

未払い残業代の遅延損害金は、未払い残業代と一緒に請求していくことになります。そのため、まずは、会社との裁判外の交渉で遅延損害金の支払いを求めていくようにしましょう。

未払い残業代には、3年という時効がありますので、時効の成立を遅らせるためにも内容証明郵便を会社に送付して請求するのがおすすめです。

なお、実務上は、会社の交渉で解決に至った場合、遅延損害金を含まない未払い残業代のみの支払いで和解するケースがほとんどです。

(2)労働審判

労働審判とは、労働者と会社との間の労働トラブルを実情に即して迅速かつ適正に解決するための手続きです。

労働審判は、原則として3回以内の期日で審理を終えることになっていますので、裁判に比べて早期の解決が期待できます。また、労働審判では、まずは話し合いによる解決が試みられますので、事案の実情に即した柔軟な判断が可能です。

労働審判の手続きで調停による和解で解決した場合には、一般的には、遅延損害金を含まない未払い残業代のみで和解するケースがほとんどです。和解に至らず労働審判となったときには、遅延損害金の支払いも認められます。

(3)裁判

会社との交渉や労働審判でも解決できなかったときは、未払い残業代の支払いを求めて裁判所に訴訟を提起することになります。

裁判では、途中で和解による解決がなされることがありますが、その場合には、遅延損害金を含まない未払い残業代の支払いのみで和解するケースがほとんどです。

和解が成立せず、判決になれば遅延損害金の支払いが認められます。

4. 未払い残業代の遅延損害金を請求するメリット

残業代の未払いがある場合には、以下のようなメリットがありますので、遅延損害金も一緒に請求するべきです。

(1)会社との交渉を有利に進めることができる

未払いの残業代に加えて、遅延損害金も請求することで、会社に対して請求する金額を増やすことができます。

会社との交渉において、交渉のカードが1つ増えることになりますので、「未払い残業代を一括で支払ってくれるのであれば、遅延損害金は請求しない」などの交渉を行うことが可能になります。

交渉による解決では、一般的には遅延損害金を含めた解決はしないことが多いですが、最初から請求を控えるのではなく、交渉の1つのカードとして利用するのがよいでしょう

(2)未払い残業代の問題を早期に解決できる

未払い残業代の請求に加えて、遅延損害金の請求をすると争いになる事項が1つ増えることになりますので、解決するまでの時間が多くかかってしまうと考える方もいるかもしれません。

しかし、遅延損害金は、時間の経過とともに金額が大きくなっていきますので、遅延損害金を請求することで会社としても早期解決をする動機の一つになります。

また、労働審判や裁判になれば、遅延損害金の支払いが認められてしまいますので、交渉段階で解決した方が会社としてもメリットが大きいといえます。

そのため、会社に対して遅延損害金も含めて請求することで未払い残業代の問題を早期に解決することが期待できます。

5. まとめ

未払い残業代がある場合には、遅延損害金も一緒に請求することで、交渉を有利に進めることができ、未払い残業代の問題を早期に解決できる可能性が高くなります。

もっとも、未払い残業代や遅延損害金の計算は、非常に複雑ですので、適正な金額を請求するためにも、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は労働問題弁護士カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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