労働審判とは|費用や流れ、自分で弁護士なしでいけるかを解説
給料の未払いなどの労働問題を解決するための手段の一つとして「労働審判」があります。 この記事では、労働審判とはなにか…[続きを読む]
会社から残業代が支払われない場合「残業代請求をしたい」と考えるのは当然のことでしょう。
しかし、会社に残業代請求をしてもこれが認められないこともあります。
この記事では、残業代請求で負けるパターンや失敗例について解説します。
目次
労働者は、通常の勤務時間を超えて働いた場合、使用者に残業代を請求することができます。
残業代が支払われない場合、以下の3つの方法で請求が可能です。
残業代請求は必ず認められるというわけではなく、訴訟などで請求をしても全部、又は一部認められない事が多々あります。ここでは、残業代請求で負けるパターン・失敗例を紹介します。
残業代を使用者に請求する場合には、裁判において、残業代が発生していることを主張・立証しなければなりません。残業代が発生したことを立証できなかった場合、労働者の残業代請求は認められません。
もっとも、残業を証明するための証拠の多くは会社が持っており、残業代の支払を立証するための証拠として、以下のものがあります。
会社が残業を禁止しているのに自己判断で残業をした場合も、残業代が認められないことがあります。
残業代は、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていることを根拠に支払われます。
しかし、使用者が残業を禁止している場合には、労働者は指揮命令下に置かれていないと判断される可能性があります。
そうすると、労働者がした残業は、賃料が発生しない私的な行為となってしまいます。そのような場合、残業代請求は認められません。
もっとも、会社が就業規則等で残業を禁止していても、労働者の業務量から残業が不可避であったり、残業について会社が黙認していたりした場合には、残業代請求が認められる可能性があります。
あらかじめ、使用者が残業手当を支払っている場合があります(みなし残業・固定残業代制度)。
このような形の残業代の支払も、実務上認められています*。
*(国際自動車事件第2次上告審。最判令和2年3月30日LEX/DB25570841)。
支払われた残業手当が正当なものであれば、労働者はさらに使用者に残業代請求をすることはできません。
なお、残業手当の支払が正当なものと認められるためには、残業手当が通常の賃金にあたる部分と明確に区別できることが必要です。例えば「基本給のうちに残業手当が含まれている」と企業側が主張しても、残業代にあたる部分について明確にされていなければ、残業代を支払ったことになりません。
また、支払われた残業手当が、労働基準法37条等に定められた方法により算定した金額(法定労働時間を超える場合、時間給換算で通常の賃金の125%)を下回る場合には、その差額を請求することができます。
残業代請求権は消滅時効にかかります*。
*(労働基準法115条)
具体的には、2020年3月31日以前に発生した残業代請求権は2年、それ以降に発生した残業代請求権は3年たつと、時効により消滅してしまいます。
そのため、当該期間が経過してしまうと、使用者に対する残業代請求は認められません。
「管理監督者」にあたる者には、労働時間の規制等の規定は適用されません*
*(労働基準法41条)
つまり、管理監督者が残業をした場合には、残業代を請求することができません。
もっとも、管理監督者に当たるか否かは、その者の肩書だけでなく実際の労働状況に応じて判断されます。
したがって、「管理職とされているが、労基法41条の要件を充足しないので、残業代請求が認められる」といったことはあり得ます。
このように、残業代請求をしてもこれが認められないケースがあります。
そのような事態を回避するためには、早急に「労働問題に強い弁護士」に相談し、証拠関係や残業代請求権がどの程度発生しているかを把握すべきです。
弁護士に依頼すれば、証拠の収集や残業代の請求申立を全て行ってくれるので、安心して残業代請求を任せられます。
ぜひ、一度最寄りの弁護士に相談してみてください。