不当解雇とは|違法なの?条件や法律、適法な解雇との違いをわかりやすく解説
会社に雇われている労働者が、ある日突然の解雇をされてしまうと、その日から生活の糧を失ってしまうことになりかねません。…[続きを読む]
労働問題にまきこまれ、弁護士に依頼したい労働者側の方もいらっしゃるでしょう。
労働問題に直面した労働者の方は、1人ではどのように対応すればよいかわからず、自分だけで悩みを抱えてしまいがちです。会社側に対して正当な権利の主張をしても、相手にしてくれないこともあり、泣き寝入りしてしまうケースが多いのが現実です。
このような労働問題については、専門家である弁護士に相談をすることによって、会社との交渉や裁判手続きなどによって適切に解決してくれる可能性があります。
今回は、労働問題でお悩みの労働者側に向けて、労働問題を弁護士に相談するメリット・デメリットについて解説します。
労働問題とは、労働者側と使用者との間で生じるさまざまなトラブルの総称です。以下では、労働問題の典型的なケースについて説明します。
労働者に与える影響力の大きさから、解雇には厳格な要件が定められています。
もしも要件を満たさず、違法に解雇した場合「不当解雇」となります。納得できる理由も告げられずに突然解雇を言い渡されたような場合や事前の説明なく経営不振を理由に突然リストラされたような場合には、不当解雇の可能性があり、弁護士に相談すべきだと言えるでしょう。
労働基準法では、1日8時間、1週40時間という法定労働時間の定めがあり、使用者が法定労働時間を超えて労働者を働かせた場合には、超過分について時間外手当を支払う必要があります。
しかし、サービス残業が常態化している職場では、残業をしたにもかかわらず、残業代が支払われていなかったり、管理職であることを理由に残業代が支払われないことがあります。
正当に残業代を請求することができる権利があるにもかかわらず、それが支払われていないという場合には、労働者は使用者に対して未払いの賃金を請求することが可能です。
労働災害とは、いわゆる「労災」と呼ばれるものであり、業務上または通勤中の出来事が原因となって、労働者に負傷、疾病、障害、死亡などの被害が生じることをいいます。
労働災害が生じた場合には、労働基準監督署による労災認定を受けることによって、労災保険から療養(補償)給付、休業(補償)給付、障害(補償)給付、介護(補償)給付、遺族(補償)給付などの保険給付を受けることができます。
労働災害による労働問題としては、会社側が労働災害の報告を行わない「労災隠し」や労災保険だけでは十分な補償が得られない場合における会社への損害賠償請求などがあります。
職場において生じるハラスメントしては、パワーハラスメント(パワハラ)、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、マタニティハラスメント(マタハラ)などがあります。
上司や同僚などからこのようなハラスメント行為を受けている状態が続くと、被害を受けた労働者側は精神的に多大な負担が生じることになります。
また、ハラスメントをきっかけに労働条件の引き下げや不当解雇などがなされることもあります。
上記のような労働問題が生じた場合には、労働者個人の力では適切に対応することが難しいことがあります。そのような場合には、労働者側は弁護士に依頼をすることによって、以下のような対応をしてくれます。
会社から解雇をされた際に、それが不当解雇であるかどうかを労働者自身で判断することは難しいといえます。
弁護士であれば、労働者が解雇された状況、解雇理由などを踏まえて不当解雇にあたるかどうかを正確に判断してくれます。
不当解雇にあたると判断した場合には、解雇の撤回を求めて、弁護士が労働者の代理人となって会社と交渉をすることができます。
労働者個人からの請求では、まともに取り合ってくれない場合でも弁護士が法的根拠に基づきしっかりと主張をすることによって、交渉段階で解雇の撤回が認められることもあります。
話し合いで解決することができない場合には、労働審判や裁判などによって労働契約上の地位の確認を求めていきますが、このような法的手続きについてもすべて弁護士が行ってくれますので、労働者の負担は最小限で済みます。
「支払われている残業代が少ないかも」と思ったとしても、労働者個人では、正確な残業代を計算する方法がわからず、泣き寝入りしてしまうことも多いでしょう。
残業代の計算は、いつ、どのくらい残業をしたかによって割増率が変わるなど、残業代計算の仕組みや計算方法は非常に複雑です。固定残業代や名ばかり管理職の問題もあるため、正確な残業代計算を行うためには、専門家である弁護士のサポートが不可欠となります。
また、残業代請求をするためには、就業規則、タイムカード、賃金台帳、給与明細などの証拠が必要になりますが、弁護士であれば証拠の収集についてもサポートすることができます。
労災保険から支払われる保険給付は、被災労働者に対する最低限度の保障ですので、被災労働者が被ったすべての損害を回復するものではありません。たとえば、労災保険からは、慰謝料の支払いはありませんし、労働者に障害が残ってしまった場合の逸失利益の補償も十分とはいえません。
このように労災保険からの保険給付だけでは不足する部分については、労働災害の発生について責任のある会社に対して損害賠償請求をしていくことが可能です。しかし、損害賠償請求をするためには、労働者の側で会社に労働災害の発生について故意または過失があったことを立証していかなければならず、労働者個人で行うには非常に困難な手続きです。
弁護士であれば、適切な証拠収集を行い、使用者責任や安全配慮義務違反などの法律構成によって、会社側に対して損害賠償を求めることができます。
また、労災保険の給付の場面では、適切な後遺障害認定を得られるように、労働基準監督署への提出書類のサポートも受けることができます。
ハラスメント被害にあっている労働者の方は、会社や加害者に対して強い恐怖や精神的ストレスを抱えていますので、労働者個人で交渉をしていくのは非常に難しく、無理に個人で進めていくとさらに被害を受ける可能性もあります。
弁護士であれば、労働者の代理人として会社側と交渉をすることができますので、労働者ご本人の負担を最小限に抑えることができます。
悪質なハラスメント行為を受けた場合には、会社や加害者に対して損害賠償請求をすることも可能であり、その手続きもすべて弁護士が行うことができます。
労働者側が労働問題を弁護士に依頼をすることには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
労働問題を弁護士に依頼することによって以下のようなメリットを受けることができます。
労働問題は、複雑な法律上の問題が含まれていますので、法律、判例、通達などの労働分野に関する専門的知識がなければ適切な解決方法を見出すことができません。
労働者個人では、適切な解決策が見出せず、一人で悩みを抱えたまま泣き寝入りしてしまうというケースも珍しくありませんが、弁護士に依頼をすることによって、労働問題を解決するための最適な方法を提案してくれます。
労働問題を弁護士に依頼をすることによって、会社側との交渉に必要な証拠収集から実際の会社との交渉まですべてを弁護士に任せることができます。
労働者個人で会社と交渉をするというのは、心身ともに多大な負担がかかりますので、このような手続きをすべて任せることができるというのは非常に心強いといえます。
会社側としても法律の専門家である弁護士から法的根拠に基づき正当な権利の主張がなされた場合には、適当に扱うことはできませんので、スムーズな解決が期待できます。
会社側との交渉によって解決することができない場合には、弁護士は、労働審判や裁判などの法的手段によって労働者の正当な権利の実現を目指します。
労働審判や裁判となると労働者個人では適切に進めていくことが困難な手続きですので、法律の専門家である弁護士に任せるのが安心です。弁護士であれば、法的主張や証拠に基づき会社側の主張の誤りを指摘して、労働問題の解決を図ることができます。
弁護士に労働問題を依頼することのデメリットとしては、弁護士費用の負担がある点が挙げられます。
弁護士に支払う費用としては、相談料、着手金、報酬金などがあります。
相談料については、1時間1万1000円(税込)としている法律事務所が多いですが、初回相談料を無料で対応しているところもあります。
なお「着手金」は、弁護士に労働問題を依頼したときに支払う費用であり、事件処理の成果に関わらず発生する費用です。
また「報酬金」とは、事件処理の成果に応じて支払う費用であり、請求がまったく認められなかったような場合には、報酬金は発生しません。
弁護士のサポートを受けることによって労働問題を解決することができたとしても、それによって労働者の得た利益よりも弁護士費用が上回ってしまった場合には、費用倒れになる可能性がありますので、弁護士に依頼する際には、その点も弁護士とよく相談したうえで判断するようにしましょう。
労働問題は、労働者側個人の力だけでは解決することが困難なケースも多いため、弁護士のサポートが不可欠です。
弁護士のサポートを受けることによって、適切な解決を図ることが期待できますので、労働問題でお悩みの方は、早めに弁護士に相談をするようにしましょう。