未払い賃金の請求書の書き方|内容証明がいい?メールでも良い?

  • 今月の給料が払えないと言われた
  • 給料が口座に振り込まれていない
  • 退職後だけど未払い賃金を請求したい

会社の経営が悪化して、労働者への給料が支払えない​状況に陥ることがあります。

この記事では、会社に給料を請求するにあたっての注意点、また請求書の書き方やどのように送るべきなのか、メールや郵送でもよいのか、それとも内容証明郵便で送るべきなのか、利息はもらえるのか、会社が応じない場合の対策等をわかりやすく解説します。

給料未払いの法律基礎知識

会社が給料を支払わないことは違法・罰則あり

会社と労働者の間には、雇用契約が締結されています。そのため、雇用契約の条件に従わず、労働者に給料(賃金)を支払わないことは契約に違反することになります。

また契約に違反するのみならず、会社が、労働者に給料を支払わないことは「労働基準法第24条」に違反します。

なお、労働基準法第24条に違反した場合には、雇用者である会社には、30万円以下の罰金刑である刑事罰が科せられます(労働基準法第120条第1号)。

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給料とは|給料の範囲

なお、「給料(賃金)」は、労働基準法第11条で、下記のように規定されてきます。

賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの

そのため、基本給、能力給などの給料明細に給料として挙げられているものはもちろんのこと、労働の対償として使用者である会社が労働者に支払うものであれば、家族手当や、定期的臨時的に支払われる賞与も賃金に含まれます。

賃金を請求する権利は一定期間経過すると、消滅する

未払い賃金請求と消滅時効について

「消滅時効」についても確認しておきましょう。

消滅時効とは、法律上または契約上の請求権があるのに請求をしなかったため、一定の期間が経過すれば、請求権が消滅してしまい、相手方に支払い等の請求ができなくなる制度のことをいいます。

給料についても消滅時効の制度が適用され、一定期間が経過すれば、労働者は、事業主または会社に対して、給料の支払いを求めることができなくなります。

給料請求の消滅時効は、改正された労働基準法第115条で、請求権を行使できるときから5年間とされています。

もっとも「当面の間は3年間」としていますので、現在は3年間の経過により、時効となります。

時効を止める方法|催告とは

時効を止めるためには「催告」をする必要があります。催告とは、債権者から債務者へ債務の履行を請求する意思表示のことをいうので、労働者が会社に対し、給料の支払いの請求をすることがこの場合の催告にあたります。

催告がされた場合には、催告があった時から6か月の間は時効は完成しません(民法第150条第1項)。

もっとも、何度も繰り返して催告をして、何度も時効を止めることはできません。

催告の効果が認められるのは一度のみです(民法第150条第2項)。

給与の支払い請求の方法と請求時の注意点

労働者は、事業主または会社に対し「請求書を送付」すれば、給与の支払いの請求を促すことができます。

また、既に解説したとおり、この請求書の送付は、催告にあたりますので、時効を止める効果もあります。

請求書の送付は普通郵便かメールでもいいの?対面でも可?

請求や催告の具体的な方法については、法律上の規定はありません。そのため、普通郵便でもメールでも請求や催告として有効です。

もちろん書面によらず、対面で給料の支払いの請求をすることも請求や催告にあたります。しかし対面の場合であれば、そもそも請求したこと、催告したことの証明をすることが困難となりますので、普通郵便やメールなど後に紛争となったときに残る物で行うことの方が良いでしょう。

加えて、普通郵便やメールは、請求する側が既に退職しているまたは休職している場合などは、特に利用しやすい請求の方法といえます。

給料未払い請求は内容証明郵便でしたほうが良い理由

普通郵便やメールによる請求や催告には上記のようなメリットがあります。

ただし「相手方に届いていない」「どのような内容を請求したのか明らかでない」あるいは「事業主または会社がこれらの書類やメールを紛失、削除、破棄」してしまうおそれがあります。

そのため、いつ、どのような内容を送付したかがわかる「内容証明郵便」で送付することがより良いでしょう。

内容証明郵便は、郵便局のサービスの一つで、送付者に同じ書面を3つ用意させ、相手方へ送付、送信者自身の保管用、郵便局保管用とします。

そのため、仮に相手方が書面を破棄したとしても、郵便局でいつ、どのような内容の書面を送付したか、それがいつ相手方に届いたのかを証明することができます。

また、裁判でもよく使用される証拠の一つですので、後の紛争に備えるという意味でも内容証明郵便で、給料の請求や催告をすることが無難です。

給料未払いの請求書の書き方|5つの内容とポイント

①給料の内容・請求する期間

請求書の書き方やその内容については、法律上定められた書き方はありません。

しかしながら、この請求は、時効を止める催告として適切に効果を生じさせるためには「給料の内容」や「請求する期間」を特定させる必要があります。

具体的には、どのような給料なのか(給料、賞与、手当などの種類や労働時間)、また何月支払い分の給料かを記載から明らかにしておくべきです。

正確な金額がわからない場合であれば、何年何月何日から何月何日までの給料などの期間によって特定すれば足ります。

②契約関係があることの事実

労働契約がされいつからいつまで労働していたか、あるいは現在も労働しているのか、「労働者と事業主・会社との契約関係」についての記載もしておく方が無難でしょう。

具体的には、「私は、何年何月何日から現在に至るまで貴社で〇〇の業務に従事しています。」などです。

③支払い期限

内容証明郵便で金銭債務を請求する場合には、多くのケースで「支払い期限」を記載することが一般的です。

支払い期限を明確にすることによって、相手方に心理的圧迫を与えることができ、相手方が支払いの期限をあいまいにすることができなくなります。

なお、支払い期限の設定は「1週間から3週間」の間に設定され、金額が大きいほど長く設定される傾向にあります。

④支払口座

これまで手渡しで給料もらってた場合は特に、振込先の銀行口座の口座番号、名義人などを記載し、振り込みによって受領する意思を明確にする方が無難でしょう。

また、今まで銀行口座への振り込みによって給料を受領していた場合であっても、記載しておく方が無難でしょう。

⑤給料未払いの利息|遅延損害金(退職後と退職前に差があり)

「遅延損害金」、遅延利息は、金銭等の支払いが遅れた場合に発生する損害金のことをいいます。

給料の支払いが遅れた場合や未だ支払われていない場合にも発生しますので、請求書を送付する場合には、遅延損害金の請求についても記載しましょう。

労働者がまだ会社に在籍している場合には「給料日の翌日から3%の割合」で請求することができます(2021年現在)(民法第404条第2項、第419条第1項)。

もっとも、令和2年に施行された民法ではこの3%の割合は「3年に一度見直され」変動しますので、請求する時に利率を調査しなければなりませんので注意が必要です。

退職済みの場合には、賃金を退職の日までに支払わなかった場合には、退職の翌日からその支払いがされるまでの期間について「賃金の額に年14.6%を乗じた金額」を支払わなければなりません(賃金の支払いの確保等に関する法律第6条第1項、同施行令第1条)。

なお、退職金についてはこの法律は適用されず、民法の利率によりますので、2021年度現在は3%の割合を乗じたものとなります。

事業主または会社が支払いに応じない場合の対応

①労働基準監督署に申告する

労働基準監督署(以下、「労基」といいます。)は、会社が労働に関する法律を守らない場合に、それらを取り締まるための厚生労働省の出先機関のことをいいます。

労基に申告をすれば、労基から申告を受けた会社に対し、法律違反を解消するように是正勧告をすることができます。

もっとも、この是正勧告には強制力がありません

確実に給料等が支払われるとは限りません。

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②労働審判

労働審判は、労働者と会社の間の紛争を解決するための裁判手続の一つです。

労働審判は、通常の裁判に比べ迅速に解決するための制度であって、非公開で行われます。

もっとも、会社側が労働審判の結果に異議申し立てをした場合には、通常の裁判手続に移行することとなります。

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③訴訟手続

通常の裁判手続で会社に支払いの請求を訴える手続きとなります。

なお、訴訟手続は、既に解説した労働審判を経ないで、訴訟提起をすることが可能です。

もっとも、どのような証拠が重要であり、どのような主張をすべきかなど法律の専門的な知識がなければ困難であるため「弁護士に相談・依頼」する方が無難でしょう。

まとめ

会社が、労働者に給料を支払わないことは、労働基準法に違反し、罰金が科せられることとなります。

給料は、現在は3年間を経過すれば時効に消滅しますが、その前に給料の請求をするなどして時効を止めることが可能です。

会社への請求は、対面のみならず、メールまたは普通郵便によっても可能ですが、どのような内容のものを送付したかを証明できる内容証明郵便によることの方が良いです。

会社が支払いに応じない場合には、労基に申告、労働審判または通常の訴訟手続によることとなります。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は労働問題弁護士カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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