セクハラを訴えるには|証拠集めの方法や流れ・注意点を解説

「職場のセクハラを訴えたい」
「セクハラの慰謝料はどうやって請求したらいい?」

セクハラの被害を受けた場合、セクハラを訴えて慰謝料を請求したいと考える方も多いと思います。セクハラは違法な行為なので、慰謝料を獲得することができる可能性があります。

しかし、実際に慰謝料請求をしようと思っても、自分が受けているのが本当にセクハラにあたるのか、またどうやって請求すればいいのか分からないという方も多いと思います。

そこで、今回は、そもそもセクハラとはどのようなものなのか、セクハラの慰謝料請求が認められるポイント、セクハラで訴えるための手順について解説します。

セクハラで訴えるための基準

セクハラで訴えるためには、そもそも自分が受けている行為がセクハラにあたるといえる必要があります。では、セクハラに該当するかどうかの基準はどのようなものなのでしょうか。

セクハラは、①対価型セクハラと②環境型セクハラの2種類に分けられます。

対価型セクハラ

対価型セクハラとは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、その労働者が解雇や降格、減給などの不利益を受けることをいいます。

たとえば、出張中の車内で上司が女性の部下の胸をさわるとその部下から抗議されたため、その部下の昇給を取り消したという事例が挙げられます。

環境型セクハラ

環境型セクハラとは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じるなど、その労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることをいいます。

たとえば、職場にヌードポスターや画像などが貼られることにより、労働者がそれを苦痛に感じ、業務に集中できないという事例が挙げられます。

「性的言動」とは

上述した対価型セクハラも、環境型セクハラも、いずれも性的な内容の発言や性的な行動があったということが前提となります。

この「性的な内容の発言」には、性的な事実関係を尋ねることや性的な内容の情報を意図的に流布することなどが含まれます。

また、「性的な行動」には、性的な関係を強要することや必要なく身体に触ること、わいせつな図画を配布することなどが含まれます。

ただし、セクハラで訴えるためには、性的な言動に対する対応に対して不利益な取扱いをしたり、性的な言動によって就業環境を悪化させて業務に支障を及ぼしたりすることが必要となります。

つまり、単に性的な言動があっただけではセクハラには当たらないという点に注意が必要です。

セクハラの訴えで慰謝料を獲得するためのポイント

セクハラで訴えるための流れを解説する前に、セクハラの慰謝料を多く獲得するためのポイントをしっておく方が良いでしょう。以下の要素があげられます。

①セクハラによる被害の程度

被害者の精神的苦痛の程度として、被害者が「退職や休職」に追い込まれたり「うつ病やPTSD」などの精神疾患を発症したりして被害が深刻なケースでは、慰謝料の額が増額される傾向にあります。

また、セクハラによって退職や休職に追い込まれた場合、休業損害や逸失利益も慰謝料と合わせて請求することができることも覚えておきましょう。

休業損害とは、セクハラによる精神的苦痛が原因で休業した間にもらえたはずの給与がこれにあたります。

また、逸失利益とは、セクハラがなければ働き続けて得られたはずの給与をいいます。

これらの休業損害や逸失利益も慰謝料と合わせて請求することで、高額な損害賠償が認められる可能性があります。

②セクハラが行われた期間・頻度

セクハラが行われたのが長期間であればあるほど、また頻繁であればあるほど、慰謝料額が増額される傾向にあります。

長期間かつ頻繁に行われていた場合には、さらに慰謝料額は高額になると考えられます。

③セクハラの内容

セクハラの内容が悪質であればあるほど、慰謝料額は増額される傾向にあります。

一般的には「性的な関係を強要する行為」や「必要なく身体に触る行為」の方が性的な発言よりも悪質であるとして、慰謝料額が増額されることになります。

また、セクハラが強制わいせつ罪や強制性交等罪にあたるような場合にはセクハラの悪質性が高いとして、慰謝料額も高額になる可能性があります。

④職場・会社のセクハラ行為に対する対応

会社には従業員が健康を害さないよう職場環境に配慮する義務があります。

そのため、セクハラについて職場側が認識していたにもかかわらず、適切な対処をしなかった場合には、この義務違反として「会社に対しても慰謝料を請求」することができます。

セクハラ加害者・会社を訴える!裁判・訴訟の手順

セクハラの加害者や会社を裁判で訴える場合の手順は、①内容証明郵便の送付、②話し合いで交渉、③労働審判の申立て、④訴訟の提起という流れになります。

慰謝料請求というと裁判をするというイメージを持たれている方も多いと思いますが、通常はまず「当事者同士で話し合い」をして解決できないかどうかを探ります。

そして、話し合いでも解決できなかった場合に、裁判をすることになります。それでは、以下で具体的にみていきます。

①内容証明郵便の送付

まずは、セクハラを行った加害者や会社に対して、慰謝料を請求する内容の内容証明郵便を送ります。

内容証明郵便とは、文書の内容とその文書を送ったという事実を郵便局が証明してくれる郵便のことをいいます。

必ず内容証明郵便を送って請求しなければならないわけではありませんが、書面で送ることによって相手方に対して請求内容を明確に伝えることができ、また請求したという証拠を残すことができます。

この内容証明郵便を送って相手方の反応をうかがうことになります。

内容証明郵便は裁判でも証拠として使う文書なので、いつ・誰が・どこで・何をしたのか、セクハラの事実とそれによって受けた被害、慰謝料としていくら請求するのかについて具体的に記載する必要があります。

②話し合いをする

内容証明郵便を受けて会社や加害者が話し合いに応じるという回答をしてきた場合は、双方で話し合いをすることになります。
ただし、会社が請求した慰謝料額を全額支払うということはほとんどありません。
会社としては、会社の言い分を主張した上で、慰謝料額の減額を交渉してくる可能性があります。場合によっては不当に低い金額が提示されるケースもあるため、もし金額に納得できない場合はその場ですぐに示談に応じる必要はありません。
提示された金額が妥当かどうかの判断がつかない場合には、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

③労働審判を申し立てる

会社や加害者が話し合いに応じてくれない、もしくは話し合いでの交渉が決裂してしまったという場合には、会社を相手として労働審判を申し立てることができます。

労働審判とは、原則として3回以内の期日で労働者と会社との間で起きた労働問題を当事者間の合意や審判によって解決を図る裁判手続です。

労働審判では、原則として「調停」が行われ、お互いの言い分をふまえて合意できないか話し合いをすることになります。

そして、ここでの話し合いもまとまらない場合は、最終的に労働審判が言い渡されることになります。

④裁判・訴訟を提起する

労働審判でも解決できない場合は、通常の訴訟を提起することになります。

訴訟で慰謝料請求をする場合は、セクハラの事実を主張して、その事実を証拠で証明する必要があります。セクハラの事実を「立証」することができなければ、慰謝料請求は認められません。

たいていの場合は、訴訟の途中で裁判官から和解案が提示されます。

判決になった場合は、セクハラの事実があったかどうかについて裁判官が判断してくれますが、和解の場合には、セクハラの事実があったかどうか明確な判断はなされず、一定の金額を相手方から支払ってもらって終わらせるという解決になるのが一般的です。

セクハラの事実を明確にしたいという場合には、和解には応じずに判決を求めることになります。

セクハラを訴える際の証拠とは

証拠のないセクハラは訴えられない?

たとえセクハラを受けたことが事実であっても、それを証明することができる証拠がない証拠不十分な状態では慰謝料請求は認められません。

そのため、セクハラで訴えたいと思ったら、なるべく早めに証拠を集めることが重要です。

セクハラの証拠としては、以下のようなものが挙げられます。

①セクハラ発言の録音

スマホやボイスレコーダーでセクハラ発言が録音されていると、セクハラがあったという事実を証明することができる証拠となりえます。

セクハラ発言が長期間にわたって行われている場合には、スマホやボイスレコーダーで録音を残しておくようにしましょう。

②防犯カメラ

セクハラの状況が映された録画映像も、セクハラがあったという証拠となります。

ただし、防犯カメラは会社が管理していると考えられるため、会社にセクハラを相談して防犯カメラ映像を確認してもらう必要があります。

もし会社に防犯カメラがない場合は、手持ちのスマホなどでセクハラが行われている様子を撮影しておくということも考えられます。

③日記

いつ誰がどのようなセクハラの言動をしたのかということについて、日記に記録していた場合には、その日記の内容も証拠となりえます。

ただし、後から思い出して同じ日に全部書いたような日記では証拠としての信用性がないと判断される可能性があるため、セクハラの言動があったらその都度日記に記録しておく必要があります。

③メールやLINEのメッセージ

加害者から送信されたメールやLINEのメッセージもセクハラの証拠になります。

メールやLINEのメッセージの内容がわかるように、スマホ画面のスクリーンショットを撮っておくなどして保存しておきましょう。

④証言

社内にセクハラを目撃した人がいれば、その人の証言が証拠となります。

ただし、目撃した人が裁判で有利な証言をしてくれるとは限りません。セクハラの加害者を庇って証言自体を拒否される可能性もあります。

そのため、可能であれば目撃者の証言を録音しておくとよいでしょう。

⑤医師の診断書

セクハラによって精神的な疾患を発症してしまった場合は、医師の診断を受けて診断書を書いてもらいましょう。

診断書に記載してもらう際には、セクハラが原因であることを明確にしてもらうとセクハラによる損害として認められやすくなります。

まとめ

以上みてきたように、セクハラには対価型セクハラと環境型セクハラの2種類があり、これに該当する場合にセクハラで訴えることができます。

セクハラで訴える場合には、まずは話し合いをしてそれでも解決できない場合に訴訟を提起することになります。

そして、訴訟ではセクハラを証明できる証拠が必要となります。もし手元に証拠がないという場合には、以上にあげたような証拠を集めることができないか検討してみましょう。

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監修
弁護士相談Cafe編集部
本記事は労働問題弁護士カフェを運営するエファタ株式会社の編集部が執筆・監修を行いました。
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