退職決定後に嫌がらせを受けた!事例・トラブルへの対処法などを解説

会社からの退職が決定した後で、上司などから嫌がらせを受けるケースがあります。

退職が決まっているか否かにかかわらず、従業員に対してパワーハラスメント(パワハラ)をはじめとした嫌がらせを行うことは違法です。

加害者や会社に対して損害賠償を請求できる可能性もあるので、もし退職決定後に嫌がらせを受けた場合には、弁護士などへご相談ください。

今回は、退職決定後に受ける可能性がある嫌がらせのパターンや、嫌がらせを受けた場合の対処法などを解説します。

退職決定後に受ける可能性がある嫌がらせのパターン

退職が決まった従業員に対しては、「もう会社の仲間ではない」といった意識からか、不当な嫌がらせを行う上司や同僚が出てくるケースがあります。

以下に挙げるのは、退職決定後に受ける可能性がある嫌がらせのパターンの典型例です。

 上司からの精神的な嫌がらせが増える

近いうちに退職が決まっているとなると、会社に残る上司の中では、退職する従業員との間で良好な関係を保とうという意識が希薄になる場合があります。それに伴って、ミスに対する叱責が必要以上に厳しくなったり、他の従業員が聞いているところで人格攻撃をしたりするなど、精神的な嫌がらせが増えることがあります。

業務上必要な範囲をこえる過度な叱責や、人格攻撃などの侮辱的な言動は、パワハラとして非難されるべき行為です。

 過酷すぎる業務量を課される

「退職するのだから、その後はどうなっても構わない」と言わんばかりに、退職までの間従業員をこき使おうとする上司も存在します。

退職まであと数週間という段階で、あまりにも長時間の残業や、到底達成できないようなノルマを課されるケースがあるかもしれません。また、退職する従業員の業務負担を増やすためだけに、本来する必要のない業務をわざわざ作り出して課すようなケースも見受けられます。

従業員のキャパシティを大きく上回る業務を課したり、不必要な業務を不合理に命じたりすることは、パワハラに該当し得る行為です。

ちゃんとした仕事を与えられなくなる

退職する従業員に対しては、上司などの側で「仕事を通じて経験を積ませよう、能力を高めて育成しよう」という意識がなくなる場合があります。

退職する以上はある程度仕方がないところですが、上記のような意識がエスカレートすると、退職予定の従業員に対して、ちゃんとした仕事を全く与えなくなるケースもあるようです。
自宅待機を命ずるのであればまだ良いですが、出勤させたうえでひたすらコピーだけを取らせるなど、従業員の能力を全く発揮することができない、誰でもできるような業務だけを課される例も散見されます。

従業員の能力と比較して、著しくレベルの低い業務のみを課して活躍の機会を奪う行為は、パワハラに該当する可能性があります。たとえ従業員が退職予定であっても、この点は同様です。

理不尽な理由で懲戒処分を受ける

退職が決まった従業員に対する嫌がらせの目的で、合理的な理由のない懲戒処分を行うケースもあります。

例えば、些細なミスを理由に減給処分をするなどの例が挙げられます。またひどいケースでは、退職金の減額などを目的として、諭旨解雇や懲戒解雇の懲戒処分を行うケースさえあるようです。

懲戒処分を適法に行うためには、就業規則上の懲戒事由に該当することが大前提となります。また、仮に懲戒事由に該当するとしても、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない懲戒処分は違法・無効です(労働契約法15条)。

退職予定の従業員に対する理不尽な懲戒処分は、違法・無効と判断される可能性がきわめて高いと考えられます。

嫌がらせをした上司や会社に対しては、損害賠償を請求可能

退職予定の従業員に対する嫌がらせ行為は、「不法行為」(民法709条)に該当する可能性があります。不法行為の被害者である従業員は、嫌がらせをした加害者(上司など)に対して損害賠償を請求することができます。

また、職場で行われた嫌がらせ行為については、以下の2点を根拠として、会社の責任を追及できる場合もあります。

①使用者責任(民法715条1項)

従業員が事業の執行について第三者に損害を与えた場合に、使用者が負担する連帯責任です。

②安全配慮義務違反(労働契約法5条)

従業員が生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるように、必要な配慮をする義務を怠ったことにより、使用者が負担する契約責任(債務不履行責任)です。

退職決定後に嫌がらせを受けた場合の対処法

退職が決まった後に、上司などから嫌がらせを受けた場合には、嫌がらせに関する証拠を確保したうえで、総合労働相談コーナーや弁護士へ相談することをお勧めいたします。

嫌がらせについての証拠を残しておく

嫌がらせに関する証拠を保存しておくことは、後に会社に対して嫌がらせを止めるように要求したり、損害賠償を請求したりする際に役立ちます。
特に損害賠償請求との関係では、訴訟における立証活動を見据えて、嫌がらせの証拠を確保しておくことが非常に大切です。

例えば、

  • 嫌がらせの言動が記載されたメール
  • 嫌がらせの言動を録音した音声
  • 嫌がらせによって課された業務の記録や成果物
  • 嫌がらせによって過剰に生じた残業時間の記録

など、考え得る証拠をできる限り幅広く保存しておきましょう。

総合労働相談コーナーに相談する

退職決定後の嫌がらせに関する相談先としては、都道府県労働局および労働基準監督署に設置された「総合労働相談コーナー」が挙げられます。

総合労働相談コーナーでは、労働関連のトラブル全般に関して、労働者からの相談を無料で幅広く受け付けています。上司などから嫌がらせを受け、どうしていいかわからない場合には、ひとまず総合労働相談コーナーに相談してみると、今後の対応についてアドバイスを受けられるでしょう。

総合労働相談コーナーの設置場所は、以下の厚生労働省ウェブページから確認できます。

参考:総合労働相談コーナーのご案内|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html

弁護士に相談する

嫌がらせの加害者や会社に対する損害賠償請求を行いたい場合には、弁護士への相談がお勧めです。

弁護士は依頼者の代理人として、加害者や会社との示談交渉を代行します。法的な根拠に基づいた論理を組み立てて請求を行うことで、適正額の慰謝料等を回収できる可能性が高まります。

金銭的な請求だけでなく、会社に対して嫌がらせを止めるように申し入れる際にも、弁護士を通じて連絡した方が、より強いメッセージを会社に伝えることができるでしょう。

まとめ

退職が決まった従業員に対するパワハラなどの嫌がらせ行為は、民法上の不法行為を構成し、損害賠償請求の対象となる可能性があります。

もし上司などから嫌がらせを受けた場合には、嫌がらせの証拠を確保して、損害賠償請求などのその後の対応に備えましょう。

嫌がらせ行為について、加害者や上司の法的責任を追及したい場合には、弁護士に依頼するとスムーズに対応できます。弁護士を代理人とすることで、加害者や上司に強い抗議のメッセージを伝えることができ、結果的に適正妥当な解決に繋がる可能性が高まるでしょう。

退職決定後の嫌がらせにお悩みの労働者の方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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