労災が認められない場合とは|労災認定の要件・認定基準・対象外の例などを解説
仕事中または通勤中にケガをした、病気に罹ったと思っても、様々な事情から労災認定が行われないことがあります。 不本意な…[続きを読む]
吹奏楽部の部員が自殺し、長時間練習「過労死ライン超え」が話題になっています。千葉の強豪校の実態が「過労死ライン」という言葉とともに取り上げられているのです。
この「過労死ライン」とは数年前から長時間労働については大きく取り上げられ、現在では労働基準法による残業時間の上限規制などの法整備も進んできています。
しかし、労働者の過労死といった悲劇はなおも起きています。
厚生労働省は「過労死ライン」というものを設けており、過労死があった場合の労災認定については、この過労死ラインを参考に判断されます。労災認定を受けられるか否かは、労働者のやご遺族の方の今後の生活に大きな影響を与えます。
この記事では、過労死ラインや労災認定について、また残業時間や労働時間とどう関係があるのか、60時間・65時間残業してたら過労死認定を受けるのか、80時間なら認定されるのか、また認定基準などを解説します。
また会社がブラックすぎて退職したいにもかかわらず、言い出すことが難しい場合などは、退職代行サービスなどの利用もおすすめ致します。
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目次
過労死の定義は下記のとおりです(過労死等防止対策推進法)。
例えば、度重なる残業に心身が参ってしまい、脳卒中や心筋梗塞で死亡してしまった場合は過労死に該当する可能性があります。
また、過労死の要因として代表的なものは長時間労働です。
労働基準法では1日8時間、1週間40時間を法定労働時間としており、法定労働時間を超える労働(残業)には様々な制約があります。しかし実際には、長時間労働が常態化している企業もあり、そこで働く労働者の中には、過労死の危険にさらされている方も多くいます。
過労死ラインとは、厚生労働省が公表している「脳・心臓疾患の認定基準」に記載されている、「病気や死亡に至る危険性が高まる労働時間」を指します。
労働者が脳・心臓疾患により死亡した場合に、これが労災に当たるか否かを判断する際に使用されます。
労災とは、労働中の事故や長時間労働によって被った「負傷、疾病、死亡」をいいます。
労災があった場合、これが業務上のものと行政庁に認定されると、保険給付を受けることができます(労災認定)。
業務上の災害といえるかは、労働者に発生した疾病が対象疾病にあたるか労災の「業務起因性」と「業務遂行性」により決まります。
過労死についての労災認定基準があります。
過労死があった場合には「対象疾病」にあたるか「業務起因性」があるか否かによって労災認定の可否が決まります。
対象となる疾病は以下のようなものとなっています*。
脳血管疾患 | 虚血性心疾患等 |
---|---|
脳内出血 | 心筋梗塞 |
くも膜下出血 | 狭心症 |
脳梗塞 | 心停止(心臓性突然死を含む) |
高血圧性脳症 | 重篤な心不全 |
大動脈解離 |
*厚生労働省が公表している脳・心臓疾患の労災認定(2021年7月) https://www.mhlw.go.jp/content/000863202.pdf
また労災の認定基準に「業務起因性」があります。これについては、業務による明らかな過重負荷を受けた場合にはこれを充足するとしています。
その要件として、①長期間の加重業務、②短期間の加重業務、③異常な出来事を挙げています。
①の長期間は「発症前6ヶ月間」をいいます。
この判断の際には、労働時間がどの程度であったかが重視されます。
労働基準法は、時間外労働を原則として月45時間としていますから、これに沿った形で過労死ラインが定められています。
具体的には以下のように判断されます。
③の異常な出来事とは、
などが挙げられています。
労災認定には上記の事情だけでなく、個別の事案に応じて様々な事情が考慮されます。
例えば下記のような事情です。
また、労災が認められないケースについては、下記記事をご参考ください。
残業が60時間~80時間などの長時間労働は、心身に多大な影響を与えます。その結果取り返しがつかない事態になる可能性があります。現在体調が優れない場合には当然のことですが、まず医師に相談すべきです。
その後、その適法性について問い合わせるべきです。その場合の相談先として、厚労省*の機関の1つである「労働基準監督署」があります。
当局は、企業の「労働法違反」等について監督しています。
*労働関係法令は厚生労働省の管轄
長時間労働は労働基準法違反になるケースがありますので、その疑いがある場合には、労働基準監督署に相談するべきです。そうすれば、労働基準監督署が調査に乗り出してくれるケースがあります。
ご存知の通り、弁護士は法律のプロです。弁護士に相談すれば、会社での労働時間等が適法なものか指摘してくれます。
長時間労働が行われている場合には、付随して、残業代が未払いなケースが多々あります。この点について労働基準監督署に相談しても、残業代を支払ってくれるわけではなく、個別に会社に請求しなければなりません。その手続きは非常に大変なものですが、弁護士ならばこれを本人に代わり行ってくれます。
また、万が一長時間労働を原因として病気になったり、すでに死亡してしまったりした場合には、ご本人や遺族の方が労災認定を求めることになりますが、弁護士はこれも行ってくれます。
特に、ご本人が死亡してしまった場合に、ご遺族の方が労災給付を求めるのは精神的な負担が大きいです。そのような場合弁護士に任せてしまうのが良いでしょう。
仮に労災認定が受けられなかった場合には訴訟を提起することになる場合がありますが、当然ながら、訴訟追行もしてくれます。
以上のように、労働問題については弁護士は非常に頼りになる存在です。労災についてだけでなく、労働関係でお悩みがあれば、弁護士に相談しましょう。
今回は、吹奏楽部の部員が自殺し、長時間練習による「過労死ライン超え」が話題になったこともあり、過労死ラインと労災の認定基準について主に解説致しました。
残業時間が月80時間を超えて100時間のような労苦を課す会社はブラックすぎると言えるでしょう。
言い出すことが難しい場合などは、退職代行サービスなども利用して、早めに対策を打つことが重要です。
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