パートタイム・有期雇用労働法をわかりやすく解説|2020年改正のポイント
近年、非正規雇用労働者の劣悪な待遇・正社員との待遇差が社会問題となっています。 この問題を受けて、非正規雇用労働者の…[続きを読む]
労働時間が6時間以下で働いている方も数多くいらっしゃるでしょう。
実際、近年では働き方の多様化から労働時間が6時間やそれより少ない場合もあります。
1日の労働時間が6時間ちょうどやそれ未満の場合「休憩時間」についてどのように法律で定められているのでしょうか?
8時間労働をしている労働者は、休憩時間が与えられています(労働時間が8時間を超える場合は、労働基準法で少なくとも1時間の休憩を与えなければならないと定められています)。
労働時間6時間ぴったりや、それ未満の場合に、休憩時間がない場合は違法なのでしょうか?
この記事では、労働時間と休憩時間について、6時間労働の場合の休憩について解説します。
目次
「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を言います。企業では、就業規則等で労働時間について定めています。
労働時間については、労働基準法に定めがあります。
上記の通り、1日に休憩時間を除き8時間を超えて労働させてはなりませんし、1週間に休憩時間を除き40時間を超えて労働させてはなりません。
使用者は、一定時間を超えて労働者を働かせる場合には休憩時間を付与しなければなりません。これは、労働者の心身の健康と業務の効率化を図る措置です。
労働者に与えなければならない休憩時間は以下のようになっています(労働基準法34条1項。条文は2(2)をご覧ください)。
上記の通り、6時間か8時間を超える時点が基準となっています。
また、労働時間が6時間を超える場合には、正社員、パートタイマー、アルバイトの区別に関係なく、休憩時間を付与しなければなりません。
以上の通り、労働時間が6時間を超える場合に、休憩時間を15分や30分しか与えないことは違法です。
ただし、労働時間が6時間ぴったりやそれ未満の場合には、休憩時間を付与する必要はありません。
労働時間が8時間ぴったりの場合も、45分の休憩時間を付与すれば足ります(もっとも、8時間を所定労働時間とする企業は、1時間の休憩を与えている場合が多いです)。
なお、労働時間が6時間以下の場合に休憩時間を付与することは、企業の裁量により可能です。
そのため、6時間勤務の労働者が休憩はいらないと考えていても付与されるケースがあるのです。
労働時間6時間ぴったりの場合でも、会社から付与されることで15分、30分など会社が定めた分だけ休むことになります。
休憩時間については、その具体的な時間以外にも様々な定めがあります。
休憩時間は、労働時間の途中に与えなければなりません(労働基準法34条1項)。
そのため、出勤してすぐに、あるいは退勤時間の直前に休憩時間を付与することは許されません。
休憩時間は、事業場ごとに一斉に付与しなければなりません(労働基準法34条2項)
もっとも、上に記載した条文から明らかなように、使用者との書面による協定で異なる定めをすることが可能です。
また、運輸交通業、金融・広告業、映画・演劇業等については、休憩時間を一斉に付与すると業務に支障をきたす恐れがあるため、一斉に休憩時間を付与しなくてもよいこととなっています(労働基準法40条、労働基準法施行規則31条等)。
休憩時間ですから、その時間、労働者は労働から解放されていなければなりません(労働基準法34条3項)。
どのようにその時間を使うかは労働者の自由で、当然、休憩時間中は労働をさせてはなりません。
能動的に何らかの業務をさせてはならないだけでなく、たとえば電話番のような、受動的な業務をさせることも許されません。
先述したルールに企業が従わなかった場合には、使用者は6か月以下の懲役刑は30万円以下の罰金刑に処される可能性がありますし、また刑事上の責任だけでなく、労働者は民事上の責任を問うこともできる場合もあります。
例えば、所定労働時間が8時間、休憩時間が1時間とされていた場合について考えてみます。
休憩時間に労働義務が課されておらず、労働から解放されていると評価されれば、何も問題はありません。他方で、休憩時間に労働義務が課されていると評価された場合、休憩時間についても労働時間に含まれます。
この場合、労働者は、就業規則の定めにかかわらず、実際には9時間働いたこととなります(なお、8時間を超えて労働させる場合には、原則として36協定の締結が必要です)。
労働基準法では、8時間を超えて労働者を働かせた場合には、割増賃金を支払わなければならないこととなっています。そのため、休憩時間と称して労働者をはたらかせた場合には、この割増賃金が支払われていないことがあります。
このように、休憩時間の在り方いかんによっては、労働者は使用者に「賃金の支払い」を求めることができます。
もっとも、休憩時間の付与が適法なものか否かの判断は、法律に精通した弁護士でなければ困難です。そのため、休憩時間が適切に与えられていないと考える方は、弁護士に一度相談してみましょう。